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ゲスの極み乙女。「フジロックを海外進出のきっかけにしたい」
 一風変わったバンド名とは裏腹に、高度な音楽性と質の高い楽曲で人気沸騰中なのが「ゲスの極み乙女。」だ。5月に行われた日比谷野音音楽堂でのライブを大盛況に終わらせると、今度は幕張メッセ イベントホールでの2デイズや、秋には横浜アリーナ公演も含めた巨大アリーナ・ツアーの開催を決定。さらにはFUJI ROCK FESTIVALへの参戦も緊急発表された。まさに怒涛の勢いである。いまや「大学生に一番支持されるバンド」とも称される話題の4人組を直撃した。

――ここに来て、いよいよ快進撃が止まりません。バンドが急激に巨大化することに対し、張本人としてはどのよう感じているものなのですか?

川谷絵音(以下、川谷):まだアリーナなどの大会場で演奏することに違和感というか、とまどいみたいなものがありますね。そもそもずっとライブハウスでやってきたバンドですから。この前、大阪城ホールのイベントに出たときのことも、正直、よく覚えていないんです。

休日課長(以下、休日):舞い上がって記憶がなくなったというのとも違うんですよ。なんというか、独特な感覚。観ている人たちがどういう気分でいるのか、ライブハウスに比べると少し見えづらくなったというか……。

ほないこか(以下、ほな):お客さんと距離を感じるんです。現実にステージと客席の距離もあるし、一番近い人ですら小さく見えるじゃないですか。

川谷:広い会場だと、お客さんからの歓声も少し遅れて返ってきますしね。そのへんをどうやって克服していくかは、今後の課題です。具体的には演出面かな。今までは曲と演奏だけで勝負してきたけど、それ以外の部分でもお客さんを楽しませなくちゃいけないので。

――演出が複雑になっていくと、ステージに立つ側としては段取りも増えますよね。

川谷:そうなんです。自分たちのライブに舞台監督がいるなんて、ライブハウス時代じゃ考えられなかったし。

ちゃんMARI(以下、ちゃん):演出の関係上、セットリストもだいぶ前から決めておかなくちゃいけない。私たちからすると、そういうことが一つ一つ新鮮なんです。

――ちょうど今、ゲスの極み乙女自体が変わっている最中なのかもしれません。

川谷:実際、街で声をかけられることもあるし、ライブ会場にも家族連れのお客さんが増えたし、僕たちを知るきっかけもライブハウスじゃなくてテレビで観たっていう人が多くなってきた。広がっているなっていう実感はあります。それ自体は、もちろんありがたい話でしかないですよ。

休日:ただ、いわゆる芸能人的な見られ方はまったくされていないと思います。特に僕に関しては皆無(笑)。

――わからないですよ。ここからさらにファンが増えたら、街で牛丼食べるのも難しくなるかもしれないですし。

川谷:いやいや! 牛丼、大好きですから! だけど変なトッピングとかしてたら、SNSに書かれちゃうかもしれない(笑)。

ほな:“牛丼にドレッシングかけてるよ”とかね(笑)。

――さて、そんな中、FUJI ROCK FESTIVALへの出演が電撃発表されました。意気込みを教えてください。

川谷:出演が決まったのは、2月の初旬だったかな。率直にうれしかったですね。やっぱりバンドやっている人間だったら、誰でもFUJI ROCK FESTIVALっていうのはひとつの目標だと思うんですよ。

休日:そうだね。去年もROCK IN JAPAN FESTIVALやRISING SUN ROCK FESTIVALに出演させていただいて、もちろんそれはすごく光栄なことなんですけど、洋楽を聴いて育った以上、FUJI ROCKには独特な思い入れはあるかな。

ちゃん:実は私、FUJI ROCKを観にいったことってないんです。これまで誘われたことも何度かあるんですけど、なぜかタイミングが合わなかったりして……。でもまぁ途中からは「ここまできたら、自分が出る側に回るまで苗場には行かないぞ」って決めていました。

――バンドマンにとってFUJI ROCK出演は、紅白歌合戦よりも大きなこと?

休日:お茶の間的には紅白かもしれませんが、単純には比べられませんね。ただ確実に言えるのは、音楽家としてFUJI ROCK出演は一大事。出演が決まった瞬間、昔、軽音楽部で一緒にやっていた友達から大量にLINEが届きましたから。“おめでとう! 俺が行きたかったくらいだよ”とか。だったらバンドやめるなよって思いましたけどね(笑)。

――出演順がHAPPY MONDAYSや岡村靖幸さんといった大御所の直後なので、プレッシャーもあるんじゃないですか?

川谷:あっ、そうなんですか。それは知らなかったですね。あまり意識しないんですよ。というのも、普段のフェスだったら同時間に出演するアーティストとかも若干気になったりするんですけど、FUJI ROCKくらいになるとみんな大物すぎて、もはや気にしてもしょうがないというか(笑)。

休日:逆に純粋な1人の音楽ファンとして、他のバンドを観るのが楽しみっていう気持ちはありますけどね。

――では、具体的に観たいアーティストは?

川谷:MUSEは絶対に観たいですね。昔からずっとファンで、コピー・バンドとかもやっていたくらいだから。あとはJam Cityっていうイギリス人アーティストのソロ・プロジェクトがあって、それがすごく気になります。音源は聴いたことあるけど、ライブはまだ観たことないので。ただ、出演する日にちが違うんですよねぇ。

ちゃん:これも同じく日程が違うんですけど、FKA twigsも観てみたい! スケジュール、なんとかならないですかね(笑)。

ほな:私たちと同じ土曜日だったら、やっぱりベルセバ(BELLE AND SEBASTIAN)でしょ~。これは本当に楽しみ!

――ゲスの極み乙女。は、演奏力が高いと指摘されることも多いですよね。そういった評価に対して思うことは?

休日:どうでしょね。個人的に演奏力という点については、究極的には自分が納得できるかどうかだと思っていますから。世間からどう見られているかってことは、あまり気にしていないかもしれない。

川谷:一般的なリスナーの方って、バンドが難しそうなことをやっていると上手いって評価しがちなんですよ。だけど実際は、シンプルな音楽をやるほうがはるかに難しかったりもするわけで。そういう意味で、どこまでわかっているのかなって。誰か1人が上手いって言い始めると、日本人ってその意見に流されがちですし。だけどFUJI ROCKに来るようなお客さんっていうのは、耳も肥えていると思うんです。だって、FUJI ROCKには本当に上手い人たちがいっぱいいますから。

――それこそ伝説的なアーティストもたくさん出演します。

川谷:それに今回のFUJI ROCKには、日本人アーティストもいっぱい出ますよね。これまで日本のバンドしか興味がなかったような人にも、カルチャー・ショックを受けてほしいんですよ。僕ら目当てでFUJI ROCKに来て、それが入口で洋楽に興味を持ってくれたら、こんなにうれしいことはない。やっぱり日本人ってどこかで洋楽に壁を持っている人が多いし、洋楽は難しくてポップじゃないって思われがち。だけどCDじゃなくて生のライブで観たら、その印象も変わると思うんです。

――ゲスの極み乙女。として、今後の夢や野望を教えてください。

川谷:やりたいことはいろいろあるけど、最終的には海外進出ですね。今回のFUJI ROCK出演も、そのためのきっかけになればいいなと。憧れていたのが海外のバンドだったので、いつかは向こうでやってみたいという気持ちはあります。

ちゃん:となると、まずは英語だなぁ。はぁ、どうしよう……。

川谷:大丈夫だよ。優秀な通訳を4人雇える立場になればいいだけだから(笑)。

 周囲の喧騒をよそに、浮足立った様子もなく前を見すえる4人。とはいうもののFUJI ROCK FESTIVAL出演はメンバーにとってもよほどうれしかったようで、他の出演アーティストについて話すときはバンド少年(少女)に戻ったような表情が印象的だった。果たして、この勢いはどこまで続くのか? ゲス乙女の伝説は、まだ始まったばかりだ。

取材・文/小野田 衛 撮影/丸山剛史

【ゲスの極み乙女。】

げすのきわみおとめ。川谷絵音(ボーカル・ギター・シンセ)、休日課長(ベース)、ちゃんMARI(キーボード)、ほな・いこか(ドラムス)の2男2女からなる4人組。2012年より活動を開始。2013年にインディーズ・デビューし、2014年にメジャー・デビュー。高い演奏技術を駆使した何が起こるかわからない曲展開にすべてを飲み込んでしまう声。 プログレ、ヒップホップを基調とし、独自のポップメロディを奏でる4人組バンド。公式HP http://gesuotome.com/

6月17日:3rdシングル『ロマンスがありあまる』発売。

6月20日(土)・21日(日):「ゲス乙女集会 vol.4 ~幕張編~」、幕張メッセ ベントホールにて開催。

7月24日(金)・25日(土)・26日(日):FUJI ROCK FESTIVAL ’15 会場:新潟県湯沢町苗場スキー場 (ゲスの極み乙女。の出演は25日・RED MARQUEE)

9月17日~:大阪城ホールよりワンマンツアー「ゲスチック乙女 ~アリーナ編~」開催。

FUJI ROCK FESTIVAL’15

期間:2015年7月24日(金)、25日(土)、26日(日)

会場:新潟県湯沢町苗場スキー場

詳しくは公式HPで http://www.fujirockfestival.com/
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