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チンパンジーにも「調理」の概念、料理の起源に光 研究
【AFP=時事】調理をする際に必要となる認知能力の一部は、人間とチンパンチーで共通しているとした研究論文が3日、発表された。チンパンジー保護区で行われた実験は、類人猿と人類の共通の祖先が、この認知能力を双方に授けたことを示唆しているという。


 熱を使って硬い繊維質やでんぷん質を分解し、肉や塊茎の消化が容易になったことで、ヒト科動物の祖先の食べ物の幅は大きく広がった。これによりカロリーが増強され、それがより大きなエネルギーを必要とする脳の進化へとつながったといわれている。

 この考えについて、米ハーバード大学(Harvard University)とエール大学(Yale University)の研究者らは、鍵はチンパンジーにあると考えた。チンパンジーは、1300万年前に共通の祖先から分岐した現生人類に最も近い生物だ。

 エール大学のアレクサンドラ・ロサティ(Alexandra Rosati)氏は、料理で使われる多くの能力は、「人間固有のものと考えられています。だからチンパンンジーでのそれを研究したのです」と話す。

 ロサティ氏と共同研究者でハーバード大学のフェリックス・ワーネケン(Felix Warneken)氏は、コンゴ共和国の「チンポウンガ自然保護区(Tchimpounga Sanctuary)」で野性のチンパンジー24匹を対象に研究を行った。研究は、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」の電子版に掲載された。

 論文によると、実験の第1段階では、熱せられたフライパンにサツマイモのスライスを置いて、生のサツマイモと一緒にチンパンジーたちに差し出した。彼らは料理したサツマイモの方を大いに好んだ。調理ではバターや油などは使われていない。

 第2段階では、食べ物が変化することについての理解を探った。

 実験では、料理済みのサツマイモ片が隠されたプラスチック容器を「調理器」に見立てて使用した。生のサツマイモ片をチンパンジーから見えるように容器の中に置き、蓋をしてプラスチック容器を目の前で振って隠し底から調理済みサツマイモを取り出し与えた。

 さらに、いくら振っても「変化」が起きない容器を使い、生のサツマイモ片をチンパンジーに与えることも行った。

 2種類の容器を見せたチンパンジーたちに、今度はそのどちらかを選ばせたところ、その多くが「調理器」を選択した。選択する際に中身は分からないようになっていた。


■「天才」なのか? 

 第3段階では、飼育施設の端に生のサツマイモ片を置き、それをどうするかを観察した。チンパンジーはサツマイモ片をそのまま食べることもできたし、4メートル離れた場所に置かれた器具で「調理」することもできた。

「1匹が最初に調理を選択した時、単にこの個体が『天才』なのだと思いました。ところが、最終的にはほぼ半数が調理を選択していました」(ロサティ氏)

 さらに研究チームは生のにんじんをチンパンジーに与えた。すると、にんじんを「料理する」過程を見せられていなかったにもかかわらず、チンパンジーは調理器具を使う意図を示した。また生のサツマイモと木片を与えられると、チンパンジーは食べ物だけを容器に入れた。研究チームは、これは彼らが「調理器」が何であるか理解していることを示唆するものだと述べている。

 チンパンジーは調理をしない。火を使いこなすことができないので、食べ物もわれわれ人間のものとは違う。人間は友人や家族などのために調理して、それを分け合うこともできる。

 しかし、研究者らによると、チンパンジーにも人間と同じような調理のための基本的な「認知能力」が備わっているという。

 これらの認知能力が共通の先祖から与えられたとの考えに基づくと、もう一つの重要な出来事──人間はいつ火を使いこなすようになったのか──についての洞察を得ることもできそうだ。

 通説では、現生人類の祖先を含む霊長類のヒト族は、護身または暖をとるために火をコントロールする方法を習得し、後に料理のために火を使用したとされている。

 研究チームは、調理そのものが火を制御する動機になった可能性すらあることを指摘し、「今回の研究は、初期のヒト族が火を制御するよりも前からその利点を理解し、食べ物を火の上に置くことで生じる結果についても推論していたことを示唆している」と述べている。
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