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ゴキブリ100万匹を飼育する女性 50万匹放し飼い部屋で開いた「悟り」
 ゴキブリを100万匹飼育している女性がいます。昼食がのどを通らなかったり、夢に出てきたり。そんな苦労を乗り越え、今では、親しみを感じるまでに。「虫で苦しむ人を減らすには、この虫たちが必要になってくる」。そこには、虫への深い思いがあります。

約100種類の虫を飼育
 アース製薬の有吉立さんは、研究部生物飼育課係長として、製品開発に使われる100種類もの虫を飼育しています。なかでも数が多いのがゴキブリです。飲食店にすみつくチャバネゴキブリ、台所にいるクロゴキブリなど、飼育する数は約100万匹にもなります。

試験に必要な数、安定的に提供
 毎月約2万~3万匹が生まれ、殺虫剤の効果を試す試験などに月約1万匹は使われます。試験は、殺虫剤が最も効きにくい羽化後10~15日の成虫で行うのが望ましいとされています。温度管理などに気をつけながら計画的に育てて、試験に必要な数を安定的に提供するのが、飼育員の腕の見せどころです。

 最初の担当はハエでした。飼育箱に幼虫を移した後、昼食がのどを通らず、ゴキブリを数百匹単位でピンセットでオスとメスに分けた日の夜は、ゴキブリの夢にうなされたそうです。

50万匹放し飼いの部屋で悟り
 入社から約1年。約50万匹のゴキブリを放し飼いにしている部屋に掃除や水替えのために入ると、ゴキブリが避けるように逃げていくことに気づきました。「虫は人間を怖がっている。生きるために必死なんだな」。そう思い始めたら、虫が怖くなくなり、親しみを感じるようになったそうです。

「世の中の役に立ちたい」
 ほとんどの虫は、殺虫剤の試験などの犠牲になります。病原菌を媒介し、人の命を脅かすこともある虫。デング熱の感染が広がったのは蚊による媒介が原因でした。「世の中の役に立ちたい」。製品開発に欠かせない虫たちと向き合う有吉さん。日々、そんな気持ちで仕事に励んでいます。
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